ルーベンスの庭で~ベルギー生活記

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フランダースの野に

Ieper(イーペル)の周辺には数多くの戦争遺産が残っていて、それを巡るツアーも出ています。In Flanders fields Museumで様々な資料を見たので、私達も周辺を車で周ってみることにしました。

先ずはイーペルから北へ20km位行ったところにあるDiksmuide。
北海に近くIjzer(エイゼル又はイーゼル:仏)川が流れるこの辺りは、第一次大戦では西部戦線の最前線でまさに激戦地だった場所。

今はどこも美しい街並みですが、当時は壊滅的に破壊されてしまいました。

IMG_8616.jpg

第一次世界大戦は塹壕戦だったと言われていますが、今でも一部が残っています。

IMG_8615.jpg
Ijzel川を挟んで右岸がドイツ軍、左岸が英連邦(ベルギー)軍の塹壕。かなりの距離があることと、周囲の爆撃跡も見えますね。

現在はこの一部が整備されて資料展示と共に一般公開しています。(写真の数字?の場所です)
その名も"Dodengang"(Trench of death)=『死の塹壕』。

IMG_8625.jpg
低地での塹壕は掘るというより、土嚢を積み重ねて作ったようですね。現在は実際の土嚢じゃなくてコンクリートで似せて作ってありました。

ここでもドイツ軍によってマスタードガスが使われ、4年間に渡る過酷な戦いに多くの犠牲が出たそうです。『死の塹壕』という名前の由来からも少し想像できますね。
ここはベルギー人達が地の利を生かしてIjzer川にある水門を開けてドイツ軍の侵攻を食い止めたりと、この地を守り抜いた栄誉ある場所となっています。

この辺りを車で走っていると、土地が低く湿地の様な状態の場所が多いのが分かります。
イーペル周辺の戦いが困難を極めた原因であり最大の敵とも言われているのが、この泥濘(ぬかるみ)。

IMG_6622.jpg

中でも最も悲惨だったと言われているのが第3次イーペル戦、別名Passchendaele(パッシェンデール)の戦い(1917年7月?11月)です。
特に雨が多かったこの年の夏、川の氾濫や無数の爆撃により地面は荒れ果て、戦車さえも飲み込んでしまう程に泥沼化していたそう。(↑博物館内にあった模型)
ここで英連邦軍は、100日間で約40万人もの犠牲を払い、前進できたのはたった8kmだったそうです。(この時は歩兵隊中心の白兵戦だったのですね)

ちなみに、"Passchendaele"は古いスペルですが、このあまりにも悲惨で苛酷な場所だったことから、兵士たちには"Passion dale"=『受難の谷』と呼ばれていたのだとか。

イーペルの博物館で見た衝撃的な写真がこれ。

IMG_6619.jpg
ほとんど跡形もなくなっていますが、ここがPasschendaeleの町。
空撮写真の分析では1平方マイル(2.56 km²)当りの砲弾孔は約1,000,000個を数えたそうです。(Wikipediaより)

Passchendaeleの戦いの様子は映画にもなっているのですね。ここではリンクしませんが、youtubeで検索すると当時の写真も含めて色々出てきますので、興味のある方は見てみて下さい。

イーペルの北東、Zonnebekeという小さな町のはずれに、英連邦軍としては世界最大の戦没者墓地と記念碑があります。

The Tyne Cot Cemetary
IMG_6635.jpg

元はドイツ軍の掩蔽地であったこの場所は1917年にオーストラリア軍が占領、前線応急救護所として使用していて、その間に亡くなった兵士の埋葬もしていました。
戦後の1919年?1921年に行われた発掘調査で、この周辺で戦死した約12000人の遺体(遺品)がここに運ばれ埋葬されたそうです。

IMG_6642.jpg
この墓碑のほとんどはPasschendaeleの戦いで命を落とした無名戦士のものです。

今では牛や馬が草を食むのどかで平和な田園風景が広がっていて、当時の様子は想像さえできません。

ところで、戦時中フランダースの野には真っ赤なポピーの花が一斉に咲いたそうです。
その様子をカナダ人軍医John McCrae(ジョン・マクレー)が1915年に書いた有名な詩があるので、最後にご紹介します。
(自分じゃ訳せないので他の方の訳をお借りしました^^;)

         In Flanders fields

In Flanders fields the poppies blow
Between the crosses, row on row
That mark our place; and in the sky
The larks, still bravely singing, fly
Scarce heard amid the guns below.

We are the Dead, Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved, and were loved, and now we lie
  In Flanders fields.

Take up our quarrel with the foe:
To you from failing hands we throw
The torch; be yours to hold it high.
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow.
   In Flanders field.

フランダースの野に

フランダースの野に芥子の花がそよぐ
列また列と並ぶ十字架
僕たちの場所と印された十字架の野に。
そして空には、勇敢にも歌いながらひばりが飛ぶ、
砲音の真っ只中その声はかき消されて 
 

僕らは死者、昨日まで生きていたのだ
曙を感じ、夕日が輝くのを見ていた
愛し、愛されてもいた。そして今ここに横たわる
   
フランダースの野に。

僕らの戦いを続けてくれ
倒れながら、君たちにたいまつを投げ渡そう
君たちの手で高く掲げてくれ。
死ぬ僕らの信頼を裏切るなら、僕らは眠れない
どんなに芥子の花が育とうと、ここ
   
フランダースの野に。

                     (日本語訳:イシュトクさちこ)


この詩がきっかけとなって赤い芥子の花は戦没者追悼のシンボルとなったそうですね。11月11日はイギリスでは「ポピーデー」と呼びますし、イーペルの式典でも胸にポピーの花飾りを付けます。

IMG_8619.jpg

8月の終わりのこの日もポピーの花が咲いていました。


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